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2019年07月25日

最近読んで面白かった本を紹介します

最近読んで面白かった本を紹介します 最近、「サイレント・ブレス(看取りカルテ)」南 杏子著 幻冬舎文庫版 を読みました。
 
 終末期医療を扱った本ですが、ノンフィクションではなく、フィクションで6人の患者さんの終末期医療について書かれています。

 作者の南 杏子氏は、現役の医師で、都内の終末期医療専門病院の内科医として勤務しているということで、まさに医師でである著作者の経験から書かれた本で、小説家としてあえてフィクションとして書かれていることがこの本の特徴です。

 主人公は、大学病院総合診療科の医師ですが、大学病院の付属ではあるのですが、在宅で最期を迎える患者専門の訪問クリニックに突然の異動を告げられます。
 
 本人は患者を機械的に捌くことができず、いつも診療時間を超過してしまうことから評価を落とし、左遷させられたと思っているのですが、患者に寄り添うその姿勢から選ばれて異動していたことが読み進むにつれて明らかになってきます。

 様々な患者に接するうちに、次第に患者の意思に添った医療を目指すようになり、胃婁や入院治療を拒否する患者の意思をこれで良かったのかと迷いながらも受け入れていく姿が描かれています。

 大学病院総合診療科に勤務していたころは、病気を治すことに全力を尽くすことが医師の務めと考え、手術や胃婁の造設など可能性があれば延命治療を施すのが当たり前と考えていたのが、本人の意思に沿った治療を施すことが大切ではないかと考えるようになっていきます。

 本人の意思の尊重と在宅での看取りをテーマとした物語で、本人の意思の尊重はもとより、本人が延命治療について、どの様にして欲しいのかきちんと意思を残しておくことの大切さを訴えるもので、すごく考えさせる物語です。

 最後は、主人公自身、訪問クリニックの経験を生かして植物状態となっている父親の看取りを行っていくこととなります。
 
 この本を読んで、自宅での看取りという理想の世界を垣間見ることができましたが、介護難民が発生する今のご時世に自宅で看取ることの難しさを実感していることも事実です。

 患者本人の意思を尊重した看取りを理想としながら、患者の家族からの訴訟を恐れ延命治療を続ける医療現場、自宅での看取りが理想と考えながら、仕事を辞めることができない家族の状況、本人不在の家族の感情で延命治療を継続する本人の苦痛、何ともいろんなことを考えさせられる1冊でした。


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