最近読んで感動した本を紹介します
最近、丸山正樹著「デフ・ヴォイス」を読みました。
サブタイトルが「法廷の手話通訳士」ということで、最近テレビでも人気の弁護士が活躍するみたいなお話かと思い、読み始めましたが、いい意味でその期待は裏切られました。
最初、「デフ・ヴォイス」という言葉が解らなかったのですが、作者自身の解説が載っていました。
ちょっと長いですが、引用してみますと
"1つは、そのまま「ろう者の声」。
もう1つは「声」そのものではないですが、ろう者の言葉である「手話」ということ。
最後の1つには、ろう者に限らず、言いたいことがあっても圧倒的な多数の前にあってその声が社会に届きにくい社会的少数者の声、という意味もこめました。"
ということでした。
この小説は、基本的には推理小説なんですが、ろう者の方々の世界観を描いており、推理小説というよりも社会派小説みたいな感じかします。
この小説において人は、"聞こえる人"、"ろう者"、そして"コーダ"と呼ばれる人に分類される。
聞こえる人はもちろん健常者で、ろう者は聴覚障害者となります。
そして、コーダは「家族全員がろう者の中で育った聞こえる人」、すなわち健常者ことです。
主人公は、まさしくこのコーダで、中途退職後にアルバイトをしながら求職活動をしており、就職のために手話通訳士になるところからこのお話は始まっています。
コーダは、"言葉を覚えるよりも手話を先に覚える"という生い立ちで、特殊な環境で育つ人です。
社会に出れば健常者ですが、家族と過ごすときは手話によるコミュニケーションという立場で、どっちつかずの目で見られる人たちで、自分の家族について語ることが少ないことが多いと書かれています。
この本を読んでいくと、随所でろう者から「お前はろう者の味方なのか、敵なのか!」という言葉を浴びせかけられるシーンがあります。
自分の知らないろう者やコーダから見た世界が目の前に広がるようで、驚きの連続でした。
ストーリーとしては、ろう者が関わる過去の殺人事件と最近の殺人事件の犯人を推理していくものですが、そこには"ろう者だこそ真実を正確に伝えられないもどかしさ"みたいなものも表現されています。
とにかく、ろう者の目からみた世界を垣間見ることができる素晴らしい体験ができること、また、コーダと呼ばれる人の苦悩など読みどころ満載です。
このブログを読んでくれた方で、興味を持たれた方は、ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。
決して損はしないと思いますよ。
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